イノベーター理論は1962年 スタンフォー大学 エベレット・M・ロジャース教授が提唱し、消費者は「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つの分類されます。

これに対してキャズム理論は、米国マーケティングコンサルタントのジェフリー・ムーアが著書 「Crossing the Chasm」邦訳・キャズム(1991年)で提唱した理論です。それは、革新的商品やサービスが市場でシェアを拡大する過程で、容易に超えがたい「溝」があるとする理論です。

キャズム理論

先に述べたとおり、新しいイノベーティブな製品が世の中に出ようとするとき、最初の市場とそのあとに続く大きな市場との間にある大きな溝のことを、キャズムと言います。

キャズムに陥る典型的なパターンは、新商品(サービス)をリリースし一時的に大きく話題を集めても、アーリーマジョリティの反応が振るわず、世間の興味関心が低下してしまう、というものです。

キャズムを越えるためには、アーリーアダプターの支持から、如何にしてアーリーマジョリティ層への普及をできるだけ短時間で行えるか、にかかってきます。

そのキャズムを乗り越えるためには、何をどうすればいいのか、こちらを本日の記事にまとめていきたいと思います。

キャズムを超えるために

ムーアは、5つの消費者区分の間にクラック(断絶)があると主張し特にアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には「深く大きな溝」があるとし、これをキャズムと呼んでいます。

「キャズム理論」では、アーリーアダプターへのマーケティングとは別に、アーリーマジョリティへの働きかけが重要だと説いています。

では、どのようにしてキャズムを超えるか、です。

ライフサイクル

ムーアの言葉に、「アーリーアダプターの目的は“変革”だが、アーリーマジョリティの目的は“生産性”である」というものがあります。

近年、どのようにアーリーマジョリティへ良い評判・情報を流すのが良いか、その口コミに近い形として、インフルエンサー・アンバサダー・エバンジェリストを活用したマーケティングが広がりを見せています。

十分に価値があり、利便性も高い。そういった商品やサービスは、そもそも流行には敏感で比較的早い段階で商品を購入する特徴をもつアーリーアダプターは、自分に合うものかどうかを判断し購入します。

しかし、アーリーマジョリティは違います。[free_buttun_txt]主にその商品の使用法に依存した判断を行いがちなのです。

アーリーマジョリティは慎重さも兼ね備える特徴があるため、その使い方が少し難しい商品はアーリーマジョリティには売れにくいのです。アーリーアダプターは技術に対してある程度の理解があり、それらを使いこなすことができるかもしれませんが、アーリーマジョリティがそこまでの努力をすることはあまりありません。

このように、商品のライフサイクルとして、受け取る側である消費者層の考え方そのものが違ってきます。

アーリーマジョリティを取り込む

結論を先に言えば、アーリー・アダプターと一緒に理想や夢といった、やりたいけどもまだ実現していない何かを一緒に実現することに尽きます。

そして、開発した商品・サービスを、「導入がスムーズ」になる商品・サービスに改善することです。

なぜなら、今あるものを急激に変えなくて済むということです。

繰り返しますが、アーリーマジョリティは慎重さも兼ね備える特徴があります。つまり、今あるものを急激に変更すると、それに反抗する構えができてしまう、という恐れが出てきます。特に現場に影響する人数が多ければ多いほど、今のやり方を変えることへの抵抗は高まります。

「この新システムで劇的に良くなるけど、それ以外の作業は今までのシステムで」ということではダメなんですね。

よって、キャズムを超えるためには、新しい商品・サービスは今までの作業をすべて改善するがその導入はとてもスムーズ、というものを実現しなければならないのです。

 
 

キャズム理論を提唱したムーア氏も、市場における超成長期が終わった段階からを「メインストリーム市場」と見なしています。ムーア氏は、メインストリーム市場に属するユーザーを保守派と呼び、「彼らを対象とした市場は大きな可能性を秘めている」としています。

マーケティングの基本の一つは、「誰に売るのか」をイメージすること。その『誰』というのも、フェーズによって変わってきます。

ユーザーが求めているのは「実利」です。彼らは、受け入れるのに時間がかかっても、一度受け入れてもらえれば使い続けてくれる可能性が高くなります。

キャズム理論ではアーリーアダプターとアーリーマジョリティでは要求が異なっており、キャズムを超えてメインストリーム市場に移行するためには自社製品の普及段階に応じて、マーケティングアプローチを変えていくことが必要です。

 
 

これからの時代は何も広報担当者や宣伝にかかわる企業・事業部だけではなく、経営者、技術者、営業、人事や総務担当者に至るまで、マーケティングに関係する意識は、これまで以上に重要な要素となってきます。

この記事がマーケティングとしてではなく、スキルとしての「マーケティング活動」を組織として取り組んでいただける一助になれば幸いです。

 
 

本章では少しでも「マーケティング活動」というものは非常に身近な存在であり、企業や部署に関係なく自分自身に役に立つスキルだと、そうのように思ってもらえるような記事をお伝えしてまいります。どうぞ、参考にしていただければと思います。

 

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