こんにちは。食育コンサルタントのベルディアです。

本日の日本の農業問題は、【農協】についてです。

まず、農協とは何か、農協はなぜ存在しているのか、そもそもの成り立ちも含めた農協の存在についてをお話ししたいと思います。その上で、農協の何が問題なのかを、次週以降でお話ししていきたいと思います。

農協とは

JAという言葉を聞いたことがあると思います。これは、農協の愛称です。

農協は農業協同組合法に基づいて設立された組合で、農業指導、農家の方など肥料や農薬の共同購入、銀行や保険、ローン、スーパーなど幅広く扱っています。

農業協同組合(のうぎょうきょうどうくみあい、通称:農協〈のうきょう〉)は、日本において農業者(農民又は農業を営む法人)によって組織された協同組合である。農業協同組合法に基づく法人であり、事業内容などがこの法律によって制限・規定されている。なお、全国農業協同組合中央会が組織する農協グループ(総合農協)を、愛称としてJA(ジェイエイ、Japan Agricultural Cooperativesの略)と呼ぶ。
農業協同組合 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/農業協同組合

Wikipediaにあるとおり、農業協同組合法(農協法)によって目的を次のように定められています。「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」

農協法の通り、農協は農業者による農業者のための協同組合ですが、アウトプットは「国民経済の発展に寄与すること」でもあるのです。協同組合にありがちな内向きで閉鎖的な運営ではなく、外部の人材を運営に積極的に参加させて、もっと外向きな議論や情報発信をしてもらいたいところです。

しかし、なぜか「国民経済の発展に寄与すること」があまり浸透したように見えないことが多いです。

なぜか。

成り立ちから順にみてみましょう。

農協の成り立ち

農協の成り立ちは、その前身となるものを含めると明治までさかのぼります。

明治維新後、「地租改正」(明治六年)が行われ、年貢(物納)から貨幣で納める税制に変わりました。これが農業を営む者たちにとっては重税となり、自作農民が小作人に転落したり、あるいは都市に出て労働者になる者が続出する引き金になってしまいます。このような実情の中で、農民の没落を防ぐため協同組合をつくることを推進しました。

こうして生まれたのが「産業組合法」(明治三十三年)です。そして、この産業組合は農村地域に大きな力を持つ存在となります。その後、昭和の戦時体制に入ると同時に、「農業会」に改組され国家統制の代行機関へと変化していきます。

敗戦により解散させられ、「農業協同組合法」の制定(昭和二十二年)により、昭和二十三年から二十四年にかけて全国的に設立されていったのが農協です。

戦後の土地所有制度が改められ、「農地改革」により農民は自作農になり、農地改革の成果を守る農民の経済組織としての役割を農協は担いました。

農協JAの目的と全国組織

一般企業と異なり、農業者や地域住民が組合員となり、組合員の営農や生活の向上のために組織されてたもので、企業のように利潤の追求を目的とはしていません。一人ひとりが弱い立場にある農業者等が、相互扶助の精神のもとに農家の営農と生活を守り高め、よりよい社会を築くことを目的としています。

・全国農業協同組合中央会(JA全中):指導、監査、広報

・全国農業協同組合連合会(JA全農):農作物の販売、資材の共同購入

・農林中央金庫 (農林中金):金融

・全国共済農業協同組合連合会(JA共済連):保険、共済

・全国厚生農業協同組合連合会(JA全厚連):医療、介護

 ほかに日本農業新聞(情報)、家の光協会(出版、文化)、農協観光(旅行)など膨大なグループ企業があります。

上記の組織体系のとおり、JAは、JAグループとも言われるように、幅広い事業を行う複数の組織で構成されています。

農協JAの役割

農家にとっての農協の役割として大きなところは次が挙げられます。

農作物の納品に対する代金の確実な回収

農機具を購入

資金の融通

作付けの指導

販売のインフラ環境が整った現在では、ネット直販など様々な販売ルートが存在します。農機具の購入にしても、農協を介さずとも安価に購入できる手段が整っています。

中でも、関係者の一部からは、農協は農業従事者のための協同組合ではなく、その組織を維持・拡大することが目的になっているという声があるほどです。まあ、この点は次週以降の話なので、今は横に置いときましょう。。。

農協JAの評価

農協改革という言葉が出るほどですので、察する部分はありそうですよね。

一番のやり玉に挙がっているのは、わかりやすいところで票田になっているところではないでしょうか。以前に挙げた記事でも票田の話をしました。

農業協同組合(JA農協)の組合員は農家です。ほとんどの農家はJAの会員になっており、地方において強力な票田となっていたと言われ、政治へ大きな影響力があると考えられてきたとされています。つまり、農協の存在が農業政策と直結すると評価される所以は、この票田にあるとされています。

事業面においても、やはり、政策と切り離せない部分があります。実質的に農水省の下部組織として活動しているため、何かあった際に救済となる法令が定められたりします。その一つの例として、「農業者戸別所得補償制度」ですね。

そして、独占禁止法の適用から除外されているという事実です。

独占禁止法では、共同して生産したり、販売したりすることなどで競争を制限することは原則として禁止されています。しかし、事業者などが互いに助け合うことを目的とした協同組合を組織した場合には独禁法の適用を受けないようにしています。

わかりやすい具体例が、米価によるカルテルですね。お米の減反(生産調整)政策です。

「国民経済の発展に寄与すること」が見えづらいのは、このような評価があるため、というのもうなづけるところではないでしょうか。

農協が抱える問題点

さて、本題です。

農協が抱える問題点は何か、というところ。具体的な話は次週以降となりますが、ここでは簡単に。

目的を失いつつある

これにつきます。

もちろん細かい点はいくつかありますが、最終的にはこの一言に落ち着いてしまうのが、農協が抱える問題点です。

では、詳しくは次週以降で。
 
 

農業に限った話ではなく、製造業やサービス業など他の産業においても問題がないわけではないのはお分かりのことかと思います。しかし、なぜここでは農業の問題を取り上げるのか。

農業は人が生命活動を行う上で最も必要不可欠な食料を生産する産業であるというところにあります。ただ、勘違いしてほしくはないのですが、あくまで食料という生産物に対する産業としての農業の問題を取り上げるのであって、農業という産業の特性を取り上げるのではないことを先にお伝えしたいと思います。

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