前回の記事で最後に述べた通り、減反というのは単純に見えて実際は複雑です。また、様々な議論がされていて、一概に何が正しいのかを判断することは難しい内容だと思っています。
しかし、それはそれとして、減反政策が行われたことによって引き起こされる事態もあるということを忘れてはいけません。
それは何も休耕地に限りません。
実は、農業従事者の新規参入者の障壁になっている、というものです。
はて????
減反政策と新規参入の障壁と何が関係があるのか、と思われる方。実は減反政策が大きな誘因になっているのです。
ふりかえり。耕作放棄地の問題点
農耕機械の発達により農作業効率が飛躍的に向上し、お米の生産は過剰状態となりました。耕作する田んぼを減らして米の価値を維持しようとしたのが減反政策です。
この生産調整とも受け取れる減反政策により、個別所得補償制を受ける農家は農地を貸し出すことよりも保有することで国からの支給がありました。
すると何が起きるか。
農地保有者は転用機会を失ったのです。
そして、この転用機会を失った農地はその土地を耕作する後継者不足により放置されます。
これが耕作放棄地となるわけです。
耕作放棄地と農地法と参入障壁と
農地法が、農地の「所有者」は「農業経営体」として「耕作者」が望ましいとしている内容であるがために、農地の所有制限の関係から新規参入の障壁となることを、第5回のときに話をしました。
つまり、こういうことです。
農地法が農地の所有を制限する
↓
農地を転用できない
↓
後継者に悩まされる
↓
減反政策で耕作を放棄する
↓
耕作放棄地が増える
↓
農地があっても農地法で農家でない参入者が認められない
如何でしょうか。
これが、減反政策が誘因と言える参入障壁なのです。
産業振興においてよけいな規制を外し参入しやすいインフラを整えることが成長の必要十分条件です。
逆説的に言えば、参入障壁のある産業は成長することはありえません。
この2018年から国による減反政策は無くなります。果たしてそれだけで農業という一次産業が成長できるでしょうか。そこには、まだ、農地法のしばりがあります。
日本の農業を成長するためには減反政策は失敗だったとする話はインターネットで調べると、とても多くの識者が述べている通りです。
農地を持たない人が農業に参入できるように農地法が改正されたとはいえ、まだ法人に限定されています。
まだまだ課題は多く残っています。
農業に限った話ではなく、製造業やサービス業など他の産業においても問題がないわけではないのはお分かりのことかと思います。しかし、なぜここでは農業の問題を取り上げるのか。
農業は人が生命活動を行う上で最も必要不可欠な食料を生産する産業であるというところにあります。ただ、勘違いしてほしくはないのですが、あくまで食料という生産物に対する産業としての農業の問題を取り上げるのであって、農業という産業の特性を取り上げるのではないことを先にお伝えしたいと思います。
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