今回は、農業という産業についてお話したいと思います。
農業は農地での栽培から家畜の飼育などを通じて食料や繊維、燃料などの各種原料を提供している産業です。農耕ノウハウの蓄積や知識や技術・技能の発展により単位面積あたりの収量を増加させ、耕作地を拡大することでより多くの人口を養える礎となっている基幹産業です。
このような農業の発展は、人々を自給から解放します。すなわち、農業従事者以外の生産活動を行う人々の食料を賄えるだけの発展により、他産業を成立させるための人員を農業従事者から解放することで経済発展の基礎を支えることとなるのです。
やがて、農業の生産性向上に伴い発展した他産業は農業を凌駕し経済への中心へと移りかわります。すなわち、第一次産業である農業から第二次産業の製造業への転換です。最終的にサービス業となる第三次産業へ経済の比重が移ります。(ペティ=クラークの法則)
ペティークラークの法則(ペティークラークのほうそく)とは – コトバンク
https://kotobank.jp/word/ペティークラークの法則-379320
農業の特殊性
農業という産業は他産業とは異なる非常に特殊な要素を持ち合わせています。
1.土地の重要性 、2.生産資源 、3.経営形態
他の産業ではまず資本(=金)が非常に重要な要素をしめます。機械設備や製造原材料などを投入するにはまず資本ありきとなります。そして原材料に付加価値を加えるための労働力を資本により雇い入れることで生産します。
しかし、農業においては、土地(農地)が極めて重要です。しかも、機械設備などと違い他へ移動させることもできません。つまり、生産物に対する付加価値は、その土地がもつ地力・地形・気候といった不確実な要素が大きく影響します。製造業における土地(立地)も確かに重要ではあるが、その土地はあくまでオフィスや工場を建築するための土地であり生産物に対する付加価値を生むための生産要素とはなりえません。
農業に投入される生産資源はその特殊性から農業以外への流用が非常に困難です。農機具をみてみましょう。小さなものでくわなど、大きなものだと耕運機や田植え機など。農業以外での転用がききません。
とりわけ、人的要素の生産資源においては製造業との違いが明確です。製造業においては、人にる知識と経験がオートメーション化により標準化されます。サービス業においてもマニュアルの導入により一定水準を保つことができます。しかし農業においてはそのようになりません。
農業は自然や動物(家畜)が相手であるため、天候や水管理、農機具、獣医学など非常に様々な多くの知識と経験が必要となってきます。しかも、これらの経験はあくあで個人の資質として固定された人的資源に依存しているところが大きいのです。つまり、ある程度のオートメーション化は可能でも多くの場合がマニュアル化できないものであり、また農業を離れてそれらの知識と経験を活かすにも、その汎用性と利用可能性は限定的と言わざるを得ないのです。その意味で、農業従事者の労働力および資本はそこに特殊性を帯びるのです。
他作業と異なる点として、農業の経営形態がほとんどの国において家族経営が主流なのです。これはすなわち、経営の勘定となる財布と、家計のやりくりとなる財布が同じになります。このことにより農業経営の経理と家計の同一化による勘定における問題点の所在を難しくしてしまうのです。
今後の農業という産業について
これまで日本の農業という産業について述べました。ただ、これらの状況が薄らいでいるのも事実です。たとえば農地。これは植物工場の台頭があります。農業のIT化(≒スマートアグリ)により人的資源はもとより機械化はその汎用性を備えつつあります。またこのIT化により農業技術のマニュアル化(※クリックするとPDFが開きます)も並行して試験的に導入され始めました。また6次産業という言葉に示されているとおり、農業が他産業との連携や共同化開発も行われるようになっています。
農業に限った話ではなく、製造業やサービス業など他の産業においても問題がないわけではないのはお分かりのことかと思います。しかし、なぜここでは農業の問題を取り上げるのか。
農業は人が生命活動を行う上で最も必要不可欠な食料を生産する産業であるというところにあります。ただ、勘違いしてほしくはないのですが、あくまで食料という生産物に対する産業としての農業の問題を取り上げるのであって、農業という産業の特性を取り上げるのではないことを先にお伝えしたいと思います。
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