脂肪(しぼう、食事脂肪)は、動植物に含まれる栄養素の一つ。日本の栄養学では一般に脂質(ししつ)と呼ばれています。脂質のうち、食品中の脂質の主成分であり、エネルギーや、細胞膜の構成成分として利用されるのは、主に中性脂肪(トリアシルグリセロール)です。また体温を保つ働きもあります。そして、「コレステロール」。

体に必要な脂質。細胞膜を作ったり、性ホルモンや副腎皮質ホルモン、脂肪の消化に必要な胆汁酸、カルシウムの吸収をよくするビタミンDなどの材料になります。

公益社団法人日本食肉消費総合センターが公開する脂質に関する内容を一部引用します。

脂肪ってなに? 体内でどんな働きをしている?

脂肪は、タンパク質、炭水化物と共に三大栄養素の一つで、1gにつき約9kcalのエネルギーを放出し、エネルギー源として重要な働きをしています。広い意味でとらえる場合には、中性脂肪や複合脂質、ステロール類のような有機溶媒に溶ける有機化合物を、狭い意味では中性脂肪のことを指します。脂肪には、動物性のものもあれば植物性のものもあり、栄養学では、脂肪を「脂質」と呼んでいます。
食事を通じて体の中に入った脂質は、さまざまに形を変え、血液やリンパの流れに乗って体内をめぐっています。
出典:公益社団法人日本食肉消費総合センター「脂肪ってなに?」

脂質の1日の摂取基準量

日本人の食事摂取基準においては、総脂質の総エネルギーに占める割合(脂肪エネルギー比率)の目標量は、詳しくは年齢によって異なりますが、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、成人で1日に必要なエネルギーの20~30%ほどを脂質からとるのがよいといわれています。これは1日2,000kcal必要な人では脂質はおよそ55gになります。

平成28年国民健康・栄養調査の結果(厚生労働省)によれば、脂肪エネルギー比率が30%を超えている人の割合は、20歳以上の男性では約30%、20歳以上の女性では約40%という結果が示されています。
下記は、農林水産省が作成した20歳以上の脂肪エネルギー比率の分布です。

出典:農林水産省「脂質のとりすぎに注意」更新日:2018年1月25日

脂質の摂りすぎによる影響

脂肪の摂り過ぎ。
この言葉の響きからイメージする一番は、やはり何と言っても肥満ですよね。そしてほかにも、動脈硬化、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病の原因になります。

補足説明です。

悪玉コレステロール、という言葉を聞いたことがある方が多くいらっしゃると思います。この悪玉コレステロールであるLDL-コレステロールが増えると血管にたまりやすくなり、動脈硬化につながります。

内臓脂肪となって蓄積されると脂肪細胞から悪玉物質が分泌され、それらの働きで血管の収縮、インスリンの働きの低下などを引き起こし、高血圧や高血糖の原因になることもわかっています。

脂質の欠乏による影響

脂質の欠乏で一番顕著な症状としては、エネルギーが不足して、疲れやすくなる可能性があります。冒頭でも述べた通り、脂質はエネルギー源です。それが欠乏するわけですから、体は疲れを感じやすくなります。

また、細胞膜が弱くなったり、肌荒れの原因になることもあります。

 
 

脂質は高エネルギーであることには変わりないので摂りすぎによるカロリーオーバーを招くため、いくら良質な脂質だとしても摂取しすぎないようにすべきです。

 
 

脂質の種類を知る

脂質は「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられ、不飽和脂肪酸はさらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分けられます。

飽和脂肪酸

肉やバターなどの動物性脂肪に含まれます。常温では固体で存在し、コレステロールを増やし、動脈硬化の原因ともなります。また消化に時間がかかるので脂肪として蓄積されやすくなります。

一価不飽和脂肪酸

血液中の悪玉コレステロールを減らす働きがあります。常温だと液体で存在し、代謝の働きを助けます。

n-6系脂肪酸

日本人が摂取するn-6系脂肪酸のほとんどはリノール酸です。リノール酸は必須脂肪酸です。大豆油、コーン油、サフラワー油などに多く含まれています。

n-3系脂肪酸

必須脂肪酸のα(アルファ)-リノレン酸、魚類に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などがあります。

コレステロール

脳神経や筋肉の働き、細胞膜やホルモンの生成に不可欠な物質です。コレステロールは体内(肝臓)で合成される脂質ですが、一部は食事からも摂取されます。卵には、1個にコレステロールが約250 mg含まれています。
日本人の食事摂取基準では、コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいと考えられるものの、十分な科学的根拠が得られなかったとして、目標量は設定されていません。

 
 

脂質のなかでも、摂取すると悪玉コレステロールを増加させたり、コレステロール値を上げたり、動脈硬化を引き起こしたりするものもあります。それが、トランス脂肪酸です。
 
 

トランス脂肪酸

何かと批判されがちなトランス脂肪酸。何がどのように健康への影響があるのかを、厚生労働省のホームページから引用します。

Q. トランス脂肪酸は健康によくないのですか?
A.
平均的な日本人より多いトランス脂肪酸摂取量を基にした諸外国の研究結果によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。また、肥満やアレルギー性疾患についても関連が認められていますが、糖尿病、がん、胆石、脳卒中、認知症などについての関連は分かっていません。
こうした研究結果は、トランス脂肪酸の摂取量が、平均的な日本人よりも相当程度多いケースの結果であり、平均的な日本人の摂取量においては、これらの疾患リスクとの関連は明らかではありません。

とまあ、このように、健康との関連は、現時点では不明とのことです。脂質に限らず食品に含まれる成分が人間の健康にどのような影響があるかを調べるのは簡単ではありません。
 
 

以前は健康によいといわれて盛んに利用されたリノール酸は、現在では逆に食事摂取基準報告書で「リノール酸の過剰摂取で認められた乳がん罹患(りかん)や心筋梗塞罹患の増加は、リノール酸の酸化しやすさ、炎症作用が原因かもしれない」と注意を促しているほどです。

いずれにせよ、「この油がよい」とされると、特定の油だけを多くとりがちですが、偏りは健康を損ねる危険性があります。

 
 

摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがずれて消費エネルギーが少ない場合、使われないエネルギーは脂肪として蓄えられます。摂取エネルギーの適正を測る一つの目安として体重があります。

ただ、摂取エネルギーのことばかりに気を留めるのではなく、食事の目安は「性別」「年齢」「身体活動量」に依存しており、その関係には相関関係があります。

上記の「食事バランスガイド」の説明はあくまで平均目安の説明です。ご自身の食事の適量については、厚生労働省のページに「食事バランスガイド」を使って、食事のバランスをチェックするページの案内があります。

どうぞ、こちらを参考にしてご自身の食事の適量をぜひ確認してみてください。

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