マイケル・ポーター。

経営者やマーケティングをお仕事でされている方は幾度となく耳にしている人物名ではないでしょうか。
マイケル・ポーターといえば「競争戦略」の分野では知らない人がいない大家です。史上最年少でハーバード大学の正教授となり、著作『競争の戦略』は世界中の経営大学院でテキストとして使われています。

マーケティングにおいて、ライバル企業との競争に戦略は欠かせません。どのような考え方をもとに戦略を立てるべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回はそんなときに役立つ「競争戦略」についてまとめてみました。

「競争戦略」とは

ポーターによると、5フォース・モデルで市場構成要員の構造を明らかにした後に、3つの基本戦略のうちからひとつを自社の戦略として採用することで競争優位の確立を目指します。

3つの戦略は、縦軸を「競争の範囲(もしくは、ターゲットの幅)が広いか狭いか」、横軸を「競争優位の源泉としての低コストか差別化(独自性)か」として設定した2軸のマトリクスで構成されます。

一言でいうなら、企業がライバルと競争をして勝つことを目的とした経営戦略論です。

コストリーダーシップ戦略(価格戦略)

「コストリーダーシップ戦略」とは、競合よりも低価格で商品・サービスを提供する、いわゆる「価格戦略」のことです。
商品や材料を安く入手し、平均並みの製品仕様とし、徹底的な原価低減を行なう等により、競合他社を圧倒するコストダウンを実現します。それにより、低価格での製品やサービスの提供が実現し、「安く売っても儲かる戦略」が可能となります。

差別化戦略(付加価値戦略)

意図的に自社の商品・サービスの価値を増加させる戦略です。
顧客が魅力的だと感じるブランド力を追求することにより、高額な商品でも顧客に買っていただくことが出来ています。ブランド力を高める方法には様々あり、商品づくりはさることながら、高級感のある店舗づくり、接客の良さ、希少性等が挙げられます。

集中戦略(差別化集中戦略・コスト集中戦略)

大企業よりも経営資源で劣っていたとしても戦える戦略が「集中戦略」です。
手口を広げずに集中することで、特定の顧客層においては、大資本にも対抗できるようになります。
「特定の顧客層にターゲットを限定し、経営資源を集中させる戦略」で、ニッチ戦略とも呼ばれます。

三つの基本戦略

ポーターはこれらの戦略のいずれかに企業は集中し、一貫性を保つことが必要であると説いています。またコストリーダーシップ戦略を保つための技術力に関わる設備投資など、それぞれの戦略に伴うリスクも十分に認識する必要があるとしています。

効果的に参入できた場合「その業界の参入障壁をさらに高めて支配する」ことも重要です。自社が空けた風穴を塞ぎ、新たな均衡をつくり上げて有利なまま支配するためです。

基本戦略の実例からみたポイント

例えば、ファッションブランドをもつメーカーが若い女性向けの低価格品に特化するのは、集中戦略となります。

このように、すでに各社が行っている基本戦略の実例を挙げつつ、ポーターの述べる「競争戦略」についてまとめていきたいと思います。[free_buttun_txt]

1. コストリーダーシップ戦略

この戦略を実行するためには、低コストでのモノづくり・サービスづくりが重要です。高い技術力と同時に、業務効率化やシステム化による社内のコスト削減が求められます。

コスト・リーダーシップ戦略の主なリスクとしては、下の2つが挙げられます。
・技術革新や市場変化の影響を受けて、既存の低コスト商品の供給力が低下する
・新規参入した競争相手が最新設備を活用して低コストの供給を実現する

例えば、製造業の場合、生産量を増加させることで製品一個あたりの生産コストを削減します。資本力や規模に依存する戦略のため、財務体質の強い企業や大企業に向けの戦略です。

2. 差別化戦略

差別化を図る場合、研究開発への投資が増えたり、品質改善などで高いコストになるため、資本力のある企業や大企業向きの戦略です。

差別化戦略の主なリスクとしては、下の2つが考えられます。
・顧客の要求水準が上がることで、これまでの差別化では満足させることが難しくなる
・競合他社に真似をされることで、差別化要素が薄くなる

差別化に成功したとしても、競合が模倣してくることで結果として差別化がはかれなくなる可能性が考えられます。模倣されてしまうと、差別化にかかったコストが無駄になってしまいます。
単純に差別化をはかれる製品・サービスを開発すればいいというわけではなく、模倣されにくいものを開発しなくてはなりません。

3. 集中戦略

特定のセグメントに絞って優位性を確立する戦略のため、経営資源の限られた小規模の企業にも活用しやすい戦略です。

集中戦略の主なリスクとしては、下の2つが挙げられます。
・対象とするセグメントと市場全体とのニーズ差が無くなる。経営資源の集中に意味が無くなる
・自社の対象セグメントの中に、競合がさらに小さなセグメントを見つけて集中戦略を進めてくる

集中するべき市場の選択を誤ると、その市場が一定以上の規模でなくなった場合、事業として成り立たなくなってしまうので注意が必要です。また、流行り廃りが激しい分野では、急激に縮小してしまう可能性もあるので、慎重に決めましょう。

基本戦略のまとめ

成功している企業は、この基本戦略のうち必ずどれかを選択しています。欲張らず、曖昧にせず、基本戦略のうちのどれかを選択し、経営資源を集中させることで、成功する確率を上げていくことが大切です。

ポーターの『3つの基本戦略』は非常に単純なフレームワークですが、自社の長期戦略の立案、ライバル企業や業界の分析に威力を発揮するとても便利なフレームワークなのです。

ポーターによると、この「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」は絶対的なトレード・オフ関係にあり、コスト・リーダーシップと差別化を同時追及すると、かえって競争優位は得られないとしています。

その理由としては、

・企業イメージの一貫性が失われ、評判・名声が落ちること。
・経営陣から現場に至るまで、社内が混乱すること。

具体的には、戦略が異なれば、ビジネスプロセス、従業員の知識・スキル、管理の仕組み、優先順位など、企業内部の要件が異なり、その結果、統制と調整に混乱が生じること。

を挙げています。

 
 

形のある資産は老朽化します。しかし、ブランドという資産は、消費者の認識の中に存在するため長期にわたって資産であり続けることができます。

ブランディングとは、単なるデザインや宣伝ではなく、ユーザーに共通のイメージを持たせる手法の総称であり、そのために立てるのが「ブランド戦略」です。そして、その本質に基づき、戦略的にブランディングを推し進めていくのが重要です。

 
 
この記事がマーケティングとしてではなく、スキルとしての「ブランディング」を組織として取り組んでいただける一助になれば幸いです。

 

本章ではこの新しい企業と消費者を結びつけるサービスの考え方、構築方法について紹介してまいります。どうぞ、参考にしていただければと思います。

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