徐々に要求のハードルを上げる『フット・イン・ザ・ドア(foot in the door)』の語源は、「訪問販売員が少し開いたドアにつま先でも入れることができれば、商品を売ることができる」という描写に由来します。

一貫性の原理

今回は、セールスマンが知っておくべき「一貫性の原理」について解説します。

普段から続けている習慣や、人に宣言したことはそのまま続けたいと思いませんか。その心理の背景にあるのが、『一貫性の原理』と呼ばれます。
人は無意識のうちに自らの行動や発言、態度を貫き通したいという心理に基づいて行動しています。

これはもはや理屈抜きに当然の事のように思えますが、その「理屈抜きの当然の事」と思える事こそがこういった潜在的な心理作用の原理になっていると言えます。

フット・イン・ザ・ドアを使う時のポイント

マーケティングなどでも、まずは小さな行動をお客様に起こしてもらって、それを受け入れてくれた後に、大きな行動を要求すると行動に移しやすくなってくれます。

そのポイントの次のようなものに集約されます。

  • 最初の要求は承諾してもらえるよう、なるべく簡単なものにする
  • 最初の要求と目的の要求に関連性を持たせる
  • あまり深く考えさせない
  • 自分がフット・イン・ザ・ドアを回避するポイント

    フット・イン・ザ・ドア・テクニックから逃れる上で一番大事なポイントは、最初の要求を断ることです。

    どんなに些細な要求であっても、興味がない場合は断りましょう。

    気づかないうちに相手のペースに飲まれて本意に沿わない結果を生むこともあります。何かを提案されている時は、「心理テクニックを利用しているのではないか」と疑う姿勢が重要です。

    応用するには

    繰り返しますが、フット・イン・ザ・ドアは「一貫性の原理」をうまく利用したテクニックです。

    一旦受け入れやすい頼みごとに応じてしまうと、一貫性の原理に影響されて、本来ならとても受け入れられない要請に対してもYESと言ってしまう可能性が高まります。

    では、どのように応用するのか、をポイントを説明していきます。[free_buttun_txt]

    小さな要求

    ビジネスでは、いきなり買ってほしい商品を勧めても、うまくいくケースはほとんどありません。そこで、フット・イン・ザ・ドアを使って、小さな要求を通してから本命の要求を出すようにします。

     

    要求の差

    最初に出す小さな要求と、そのあとに出す大きな要求の差は開きすぎないことが大切です。

    たとえば、残業を部下にお願いするシーンを思い浮かべてみてください。

    最終的に1時間の残業をお願いしたいのだとしたら、最初に出す要求は「30分」くらいにして、心理的な負担を感じさせないようにすることがポイントです。

     

    要求の段階

    要求の差を大きくしすぎないためには、要求は段階を分けるようにすると成功しやすくなります。

    先ほどの残業の次のシチュエーションとして。

    残業に取り掛かり、「ごめん、あと15分だけ!」とお願いをすれば、最終的に1時間の残業もOKしてもらいやすくなります。

     

    最初の要求に金銭的な報酬を与えない

    最初に出す小さな要求に応えてくれた時には、見返りとしてお金をあげないことが大切です。親切心で要求に応えた人にとっては、自尊心を傷つけることにもなります。

    お礼にお金を用意してしまうと、関係性の構築ではなく商取引になってしまいます。

     
     

    フット・イン・ザ・ドアは、自分自身を説得(行動)させるためにも使えます。段階を踏んで少しずつやることで、最後には目標を達成できるかもしれません。

    自分自身をいい意味で騙していくのです。ついつい先延ばししてしまう癖のある方は、自分自身にフット・イン・ザ・ドアを試してみてはいかがでしょうか?

     
     

    マーケティングスキルはビジネスを大きく左右する重要なスキルであるにも関わらず、学校や会社ではほとんど教えてもらえません。紹介した知識はマーケティングはもちろんですが、結局ビジネスをしていく上で顧客心理は切っても切り離せない重要なポイントです。

    テクニックは、接客、営業、WEBマーケティングなど、様々なシーンで参考にできるものばかり。もちろん、職場や家族の問題の解決で合ったり―の中でも活用できるので、一度目を通して頭の隅っこにいれておくことをおすすめします。

     

    本章ではこの新しい企業と消費者を結びつけるサービスの考え方、構築方法について紹介してまいります。どうぞ、参考にしていただければと思います。

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