「粗食」はやせられる、ダイエットにうれしい、などとするインターネット上の記事が散見される現代です。「粗食」はそういう側面があるのだろう、ということはなんとなくイメージされます。

しかし、それは本当に健康と言える食事なのでしょうか?

本シリーズ2回目の今回の記事は、肥満に焦点を合わせてみたいと思います。

肥満を考える

年齢とともに筋肉量や骨量が減り、からだを支える力が弱くなっていきます。これは誰にでもあることなので逆らいようがありません。いわゆる、老い、です。

その老いた体にムチを打つのが、肥満、と言われています。

肥満、とは一体全体、何者なんでしょうか。

肥満

一般的に表現されていることとして、肥満とは正常な状態に比べて体重が多い状況、あるいは体脂肪が過剰に蓄積した状況と言われています。

ものすごく簡単に言うと、肥満とは明らかに誰の目からも太っていると見られる体系、と言えばわかりやすいでしょうか。

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会より、肥満についての説明を引用したいと思います。

肥満とは、からだに余分な脂肪がついている状態を指します。医学的には「BMI」という尺度を使い、肥満かどうかを判定します。そのBMIは、体重(kg)を、メートルで表した身長で2回割り算して計算します。この答が18.5以上25未満になれば普通体重、18.5未満なら低体重(やせ過ぎ)で、25以上の場合が肥満です。
出典:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

肥満症

次に、肥満症。

「肥満」とは太っている状態であって、疾病を意味するものではありません。

一方、肥満症は、肥満と判定されかつ肥満に起因ないし関連した健康障害があるか、あるいは内臓脂肪が過剰に蓄積した病態をいいます。肥満症とは治療すべき肥満です。

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会より、肥満症についての説明を引用したいと思います。

肥満症は、肥満に該当する状態(BMIが25以上)で、かつ、肥満による健康への悪影響が既に現れている場合、もしくは「内臓脂肪型肥満」の場合を指す病名です。
出典:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

メタボリックシンドローム

そしてそして、次に、メタボリックシンドローム。

「メタボ」の愛称(笑)で日常に使われるメタボリックシンドローム。内蔵肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態です。

ちなみにですが、単に腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームにはあてはまりません。

みなさん、誤解していませんでしたか?

「メタボ」は病態なんです。単におなかが出ているだけで「メタボ」を言っては、その人を傷つけますよ?

またまたですが、一般社団法人 日本生活習慣病予防協会より、メタボリックシンドロームについての説明を引用したいと思います。

肥満症の健康への悪影響の中でも特に、命に直結しかねない動脈硬化に焦点を当て、その予防と早期治療のために診断するのがメタボリックシンドロームだということです。具体的には、前記の内臓脂肪型肥満に該当し、かつ、血圧や血糖値、血清脂質に‘軽度’の異常が重なっている状態を指します。
出典:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会

肥満と摂取エネルギー

下記は、平成29年9月21日に厚生労働省の発表した「平成28年「国民健康・栄養調査」の結果」より、肥満率のグラフです。

こちらの記事でも取り上げましたが、消費エネルギーと同量のエネルギーを食事で摂取していれば、体重は変わりません。一方、消費量が摂取量よりも少なければ太り、消費量が摂取量よりも多ければやせる、というのは至極単純な理論です。

消費量 = 摂取量 は 結果:体重維持
消費量 < 摂取量 は 結果:太る
消費量 > 摂取量 は 結果:やせる

ところが、厚生労働省の統計資料によると、摂取エネルギーを減らせば減らすほど、男性は太っていました。花王グループが運営している「食と健康ナビ」より、摂取エネルギーの減少具合がよくわかるグラフを引用します。


出典:「食と健康ナビ」より

こちらのグラフは、厚生労働省の統計資料が元となっているようです。

このとおり、摂取エネルギーが減っているにもかかわらず、なぜか男性の肥満率が上がっています。

 
 

ええーーーーーーーーーーーーっ!!!!!

摂取エネルギーと体重って関係があった、、、はず。

なんで????

摂取エネルギー(≒食べる量)が減ってきているのに、なぜ肥満が増加しているのでしょうか?

食事の質の変化

摂取エネルギーが減っているはずなのに、肥満が増加している。

ふつうに考えると、理解しがたい減少ですが、下記の例では、どうでしょう。
 

白米(茶碗)250kcal
カツサンド460kcal
メロンパン350kcal
カップラーメン420kcal
ナポリタン(パスタ)550kcal
豚肉の生姜焼き280kcal
牛丼650kcal
生野菜サラダ25kcal
冷奴90kca
味噌汁1杯60kcal
コーンスープ130kcal

 
 

カツサンド(460kcal)+コーンスープ(130kcal)=590kcal

白米(茶碗)(250kcal)+豚肉の生姜焼き(280kcal)+味噌汁1杯(60kcal)+生野菜サラダ(25kcal)=615kcal

わずか25kcalの違いです。豚の生姜焼きの方が多いです。

で・す・が、、、、

こちらを思い出してください。

他の記事でもまとめていますが、農林水産省の「食事バランスガイド」です。

「食事ガイドバランス」は、厚生労働省と農林水産省の各ページで確認することができます。あわせて参考にしていただければと思います。

さきほどのカツサンドと豚の生姜焼き、どちらが食事バランスが整っているように見えますか?

これこそが、肥満と摂取エネルギーのからくりです。

わかりますか?

バランスのよい栄養素が賄える食事では見えなかった脂質やたんぱく質、炭水化物(糖質)の過剰な摂取により、食物繊維やミネラルのバランスを崩してしまい、結果として、体内に脂肪として蓄えてしまっているという結果につながっているのです。

消費エネルギーの変化

太古の昔、人類が狩猟採集をしていた時代においては狩ることで日常のエネルギーを摂取していたと言われています。その日食べた分を、生きるためのエネルギーや活動するエネルギーとして使用しない場合は、獲物を狩れなかった場合の万が一に備えて、体脂肪としてためこむメカニズムを体に備えた、と言われています。

ところが現代の日本人は獲物が狩れないなどといった、いわゆる「生命を脅かす飢餓」に見舞われることは心配しなくてもよい条件がそろっていると言えます。

すると、人は活動を控えます。つまり、運動量が減ります。運動量が減るということは、消費エネルギーの減少です。

つまるところ、消費エネルギーはやはり減少していると言わざるを得ないのではないでしょうか。

次回は、「粗食で重要視すべきは食の質」をテーマにまとめたいと思います。

どうぞ、よろしくお願いします。

 
 
本章では、粗食と健康についてをまとめておおくりしたいとおもいます。

ダイエットを目的とした粗食の話ではありません。

旬のものをおいしくいただくことは、とてもしあわせなことだと思います。春には春の旬のものを 夏には夏のものを、四季を食卓に取り入れて、本当の意味での粗食を楽しんでいただくための助けになれば幸いです。

 
 

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