前回の話は、植物工場にとってもっとも大事な照明装置の話をしました。今回は、植物工場の環境管理についてです。

植物工場の最重要ポイント:水の管理

植物が生長するのに欠かせない要素はいくつあるかご存知ですか?
 
発芽条件
1.水
2.適当な温度
3.空気
 
成長条件
1.水
2.日光
3.肥料

発芽、生長ともに最重要ポイントは水です。今回は、植物工場における水の管理についてお話しをしたいと思います。

植物工場では通常の水ではなく、肥料などを溶かした培養液による水耕栽培を行っています。この培養液の温度管理、肥料などの濃度管理が植物の生長に影響を与えます。

経済産業省が発表した、「人工光型植物工場における環境制御 IT の確立」より少しばかり引用します。

水耕栽培においては、栽培を安定させるために、肥料混合や pH の調整を毎時毎分刻みで管理する必要がある。こうした管理を人間がマニュアルで正確に行うのは困難なため、通常の植物工場では、センサーにてセンシングしながら PLC 等で自動制御を行う。

具体的には、肥料濃度、pH、C02 濃度、温度等をセンシングする各種センサーを人工光型植物工場内に配置し、これらのセンサーから得られる情報をリアルタイムで抽出して PLC に取り込み自動制御をしつつ、インターネット回線を通じて遠隔モニタリングを同時に行い、かつ、栽培条件に関わる数値を任意に変更できるシステムを構築する。

このように、ICTを活用したスマートアグリによる管理で植物工場の培養液を管理しています。また、この培養液は高温になると酸素が溶けにくいということより、15~20度の範囲で管理されています。

ちなみに、この15~20度という温度範囲。じつはこちら自然と同じなんです。

公益社団法人日本地下水学会によりますと、一般的に地下10mでは一年の地温温度変化がほとんどなくなると言われているそうで、水温16~18℃、年間の温度差は1℃以内であることが一般的とあります。

(※詳しくは公益社団法人日本地下水学会のHPを参照ください)

このように、植物工場とはいえ自然と同じような環境を作ることが前提で、野菜を生長させていることがわかります。

培養液の管理:pHという指標

pH(ペーハー)という言葉を小学生の時に聞いたことがあるかと思います。pH7を中性として0に近いほど酸性になり、数字が大きくなるほどアルカリ性になります。
理科の実験でリトマス試験紙で実験された方も多いかと思います。アジサイは土壌のpHによって色が変わるため、天然のリトマス紙、などというように私は教えてもらったことがあります。

水耕栽培では各肥料成分が十分にあっても、pHの調節には特に注意が必要とされています。それはなぜかを説明します。

 
pHが低い場合
pHの下限はおよそ5.5程度と言われています。これを下回るとリンや窒素の吸収や利用効率が低下して欠乏症が発生しやすいという報告例があります。

 
pHが高い場合
pHが6.5を超えるような高い場合、鉄やマンガンの吸収や利用効率が低下して欠乏症が発生しやすいという報告例があります。

植物の成長に欠かせない肥料を溶かした培養液ですが、そのすべての養分を植物は吸収するわけではありません。特定の成分だけが水中に残ることがあります。そうすると、培養液の肥料濃度はもちろんのこと、このpHが変化してしまうのです。このpHの高低変化が植物の生長に影響を与えるのです。

いずれにしてもpHが大きく変化すると植物に栄養障害が出るので、その場合は 中和剤を使用することになります。

これらpHの報告例などは、農林水産省のこちらを参照しております。お時間ありましたら、一度ご覧になってください。

本章では、植物工場の成り立ちから運営に必要な基礎知識や技術、活用する際の課題といった実用面までをまとめていきたいと思います。どうぞ、参考にしていただければと思います。

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