ここでお伝えしたいことは、データはすでに過去になっている、ということを忘れてはいけないということです。そして、データから見えてくる「何か」を言葉にしてほしいと願っています。そして、その言葉から戦略を立ててほしいと思っています。

こんにちは。食育コンサルティングのベルディアがお届けするテーマ【マーケティング戦略はキーワードで生み出す】です。本日もどうぞよろしくお願いします。

ある特定の企業のみにフォーカスをあてた記事は書かないのですが、今回は、セブンイレブンの「セブンカフェ」にフォーカスしてマーケティング戦略についての説明をしたいと思います。

なぜセブンイレブンでコーヒー

2013年に登場したセブンカフェは税込100円(レギュラーサイズ)という価格で、2018年2月時点で発売以来累計販売数は39億杯の販売がありました。そして、2018年の販売目標に、11億杯を販売すると掲げているほどです。(出典:流通ニュース2018年02月09日記事より)

2013年は4億5000万杯、2014年度は7億杯、2015年度は8億5000万杯、2016年度は9億杯を販売(出典:流通ニュース2018年02月09日記事より)

全日本コーヒー協会(1953年発足、http://coffee.ajca.or.jp)の統計からコーヒー豆消費量を引用します。

2001年:413,343トン
2002年:415,420トン
2003年:407,188トン
2004年:427,949トン
2005年:433,607トン
2006年:436,138トン
2007年:438,384トン
2008年:423,184トン
2009年:418,538トン
2010年:431,217トン
2011年:420,932トン
2012年:428,068トン
2013年:446,392トン
2014年:449,908トン
2015年:461,892トン
2016年:472,535トン
2017年:464,686トン

セブンカフェが登場する2013年以前は、41~43万トン前後でずっと推移していたのが、2013年を境に飛躍的にコーヒー豆の消費量が増えているのが一目瞭然です。

セブンカフェ以降、ローソンなどのコンビニエンスストア各社がコーヒー販売を行ったため一気に消費量を押し上げたのは言うまでもありません。これだけの一大マーケットにまで成熟させる株式会社セブン-イレブン・ジャパンのすごさがよくわかります。

比較のため、あるコーヒー店を引き合いに例示します。

喫茶室ルノアールとの比較

「喫茶室ルノアール」という喫茶店をご存知でしょうか。
首都圏にお住まいの方や、首都圏で仕事をされる機会の多い方の中には、一度や二度利用された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この「喫茶室ルノアール」を運営しているのは株式会社銀座ルノアールです。
こちらはJASDAQ(証券コード:9853)に上場している企業ですので、売上高を確認することができました。公開されているIR情報を閲覧しますと、2008年に56億9300万円から2017年には76億4600万円と約3割増と、また、都内・首都圏の各主要駅付近に 100店舗を超えるチェーン店舗展開する等、優良企業です。

ルノアールのコーヒーは1杯600円前後します。セブンカフェのそれと単純な価格を比べると、およそ6倍です。販売形態の違いや、コンセプト、またターゲット層など、違いを上げれば枚挙に遑がないですが、価格だけにフォーカスすればおよそ6倍です。

単純な売上高をコーヒー1杯あたりの単価から単純に算出すると、セブンカフェはコーヒーだけで2017年は900~1000億円を売り上げている計算になります。

「喫茶室ルノアール」のコーヒー販売杯数を確認できる資料が見当たりませんでしたが、売上高の比較だけみても、セブンカフェの売上のすごさをお分かりいただけるのではないでしょうか

では、なぜ人はセブンカフェでコーヒーを購入するのでしょうか。

 

答えの一つは、「気軽さ」です。

 
マーケティング戦略を打ち出すのに重要なことは、どういう価値をお客様に提供するのか、を頭から離さないことです。

この観点から、この「気軽さ」がもつ重要な意味をこれから詳しく説明していきます。

そして、その「気軽さ」をキーワードとして、どのようなマーケティング戦略を打ち出すのか、そのポイントも合わせて説明します。

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「気軽さ」とは

「気軽さ」を辞書で調べました。

容易に行うことができるさま ・ お手軽な ・ 敷居の低い ・ ライトな ・ 手軽な ・ 気軽な ・ お気軽な ・ 手の届く ・ 気のはらない ・ 気の張らない ・ 気楽な ・ 楽な

マーケティング戦略を検討する上で、この「気軽さ」は大きな戦略の軸になります。

例えば、消費者が夕食を自宅ではなく外の飲食店に求めたとしましょう。消費者が店を選ぶ理由には、早い、安い、便利な店、腕がいい、技術力がある店、いつもの自分のことをよく知っている店といったようにそれぞれの理由が存在しており、これらは視点をかえて店から見ると自店の「差別化ポイント」です。

差別化戦略

「気軽さ」を打ち出す戦略は、「差別化ポイント」につながるのです。これは、マイケル・ポーターによって提唱された競争戦略のうちの一つで、差別化戦略と言われています。

つまり、「選択肢があり過ぎて選べない」状況の場合に、消費者は選択肢があり過ぎる状況は「何も選ばない」という行動につながる可能性が高まります。心理として提唱されているもので「決定回避の法則」と呼ばれるものです。

この消費者心理を抑えるために、「気軽さ」を打ち出す「差別化戦略」を選択するのです。

どのように差別化戦略するか

消費者の問題点を、どのように解決するのかを検討します。その対象によって最適な訴求 ツールや販売方法は異なるため、一般的な話にはしづらいところがあります。

とは、いえ、まったく一般論として述べることができないわけではありません。

そのポイントは次の通りです。

低価格で無難

100円均一のお店を思い浮かべてください。
いずれの商品も低価格です。それでいて無難な選択です。

手際が良く、効率が良い

人は難しいことを嫌う傾向があります。人は効率の悪さに腹を立てることが往々にしてあります。
手際と効率の良さは、最終的にかならず顧客満足につながります。

低コストで大量に生産できる設備

商品やサービスを提供する側にとって、一つの商品・サービスにかけられるコストは限られています。安価に大量に提供できる設備を自社内で保持することは、非常に大きな戦略軸であり武器となります。

セブンカフェのマシン

コーヒーマシンはセブン-イレブンと富士電機が共同開発したオリジナルの1杯取りペーパードリップマシンなので販売していません。そのため、マシンにかかる費用がいくらかは想像もできません。

ただ、このコーヒーマシンのすごいところは、45秒でコーヒーを提供できるという点です。しかも、ボタン一つで完結するため手際がよく、またセルフ式のため従業員の負担が軽く抑えられ非常に効率的です。

 
 

いかがでしょうか。

「気軽さ」というのは、実はとても理にかなったマーケティング戦略であり、実のところマイケル・E・ポーターが提唱した3つの基本戦略のうちの一つ、「差別化戦略」というものである、ということをご理解いただけるきっかけとなったのではないでしょうか。

では、最後になりましたが、この「差別化戦略」についての詳細をもう少しだけお付き合いいただき、本日の記事の最後とさせていただきたいと思います。

 
 

差別化戦略とは付加価値戦略である

どんな製品・サービスであれ、「安い!」と思われれば、顧客から選んでもらえる、ということです。経営学用語では、「価格優位」ともいいます。

その逆で、安く売れなければ高く売ればよい、という発想があります。いわゆる、ブランド戦略です。商品の価値やブランドが認められれば、高くても顧客は購入してくれるというものです。

そのためには、ライバルにはない独自性の高い価値を創造する必要があります。そして、プレミアム価格で提供します。

ただし、単純で模倣容易な表面的な独自性・差別化では持続的競争優位の確立は難しいので、他社が容易に模倣することが困難な仕組みレベルでの差別化の結果としての製品差別化を目指す必要があります。

この差別化戦略は、業界内で独自のポジションをおく戦略とも言いかえられます。

差別化戦略のメリット

差別化戦略の最大のメリットは、他製品・サービスとの競争を回避することができます。また、高い利益率を得やすくなるので、自社の交渉力を強めてくれます。

差別化戦略のデメリット

デメリットは、競合が模倣してくることで結果として差別化がはかれなくなる可能性が考えられます。模倣されてしまうと、差別化にかかったコストが無駄になってしまいます。それを回避するためには、模倣されにくいものを開発しなくてはなりません。
この開発コスト(人、金、時間の投入)もまた、デメリットとして挙げられます。

 
 

冒頭にも触れましたが、「気軽さ」をマーケティング戦略として検討する際には、必ず、消費者にとっての価値を意識することです。

マーケティング戦略を打ち出すのに重要なことは、どういう価値をお客様に提供するのか、を頭から離さないことです。

 
 
これからの時代は何も広報担当者や宣伝にかかわる企業・事業部だけではなく、経営者、技術者、営業、人事や総務担当者に至るまで、マーケティングに関係する意識は、これまで以上に重要な要素となってきます。

この記事がマーケティングとしてではなく、スキルとしての「マーケティング活動」を組織として取り組んでいただける一助になれば幸いです。

 
 

本章では少しでも「マーケティング活動」というものは非常に身近な存在であり、企業や部署に関係なく自分自身に役に立つスキルだと、そうのように思ってもらえるような記事をお伝えしてまいります。どうぞ、参考にしていただければと思います。

 

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