マーケティングにおいて「顧客志向」は基本的な概念、指針と言えます。

個人・法人を問わず、営利・非営利の区分なく組織として対象とする消費者のニーズとウォンツを無視した活動は、その組織の存続に大きな影響を与えます。

消費者の望むモノやサービスは何であるか、何を提供することで消費者に喜びと感動を与えることができるのかを第一とした概念およびその姿勢や指針が顧客志向です。

顧客満足(こきゃくまんぞく、英: customer satisfaction, CS)または顧客満足度とは、人が物品を購入するとき、その物品に感じる何らかの満足感のことである。顧客は顧客満足を感じたときに物品を購入するとの考え方で、企業においては、その度合いを定期的に評価し、次期商品開発に結びつけたりする時に使うことがある。
顧客満足 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/顧客満足

顧客志向は手順ではなく考え方

「顧客志向」という言葉を、マーケティング戦略の1つとして考えてしまうと、その行先は大きくその方向を取り違えてしまう恐れがあります。

前回の記事で説明したマーケティング・コンセプトを思い出してください。

組織の取り組むべき市場活動において、その方向づけをするのがマーケティング・コンセプトです。「顧客志向」も同じです。あくまで方向づけなのです。

「顧客を事業の基礎とする」ということで事業計画をたててそのまま実践すると、その組織がもつ技術や知識の中心に「顧客志向」があるためジレンマを抱える恐れがあるためです。

では、「顧客志向」とはどのように指針として取り扱うのか、3つのポイントから説明していきたいと思います。

消費者との時間共有

時間の共有というと、何かを一緒に行動するとか、工場見学とかイベントのようなものをイメージされる方がいらっしゃるかもしれません。

ここで説明するのは、そのようなものではありません。[free_buttun_txt]消費者の言動を受け止めるということです。

例えば、消費者アンケートなどはわかりやすい情報収集、すなわち、消費者との時間共有となります。
消費者アンケートの内容によっては、「目を背けたくなるような顧客の行動」「耳をふさぎたくなるような顧客の声」が寄せられることがあるかもしれません。

しかし、その消費者の生の声こそが、自分たちの組織が提供しているレベルのモノやサービスであることを共有することができます。そして、自分たちのビジネス・デザインを再構築したり、新たなソリューションの提供を進める方向づけをすることができます。

消費者の購買プロセス

購買プロセスは大きく分けて「知る」、「検討する」、「選ぶ」という3つの段階があります。消費者はモノやサービスに無関心の状態から始まり、各プロセスを辿って商品の検討・購買へと進んでいきます。

ところが、購買プロセスにおける消費者の時間は消費にのみ費やされることになります。

つまり、自分たちの組織が提供するモノやサービスの価値を消費者に伝達するプロセスの時点から顧客志向が貫かれていなければならないこととなります。購入時点という局面にだけ限定して、顧客志向や顧客価値を考えていては十分とはいえないのです。

提供する側が消費者側の立場に立つことから始まり、下調べ、比較検討し、店舗を見つけ、最終的に購入するプロセスのすべてのステップで、顧客への配慮が必要というわけです。

この購入プロセスへの配慮が不十分であれば、消費者の満足は低下してしまう結果につながる恐れがあります。

消費者の潜在ニーズ

以前の記事にも書いた通り、消費者のニーズには、顕在化されたニーズと潜在意識のままで表面化されていないニーズがあります。

顧客は語ることができず、企業も簡単に把握することができない深層的なニーズであるともいえる「潜在ニーズ」。
この「潜在ニーズ」の掘り起こしこそに、「顧客志向」の指針が含まれるのです。

顧客志向の重要度

マーケティングを専門とする人だけでなく多くの企業が、顧客志向が重要であることに異を唱えることは無いと言っても過言ではないほど、この概念は大切です。

顧客満足や顧客志向で優れた成果をあげている企業では、単にコンセプトやポリシーを掲げるのみならず、そうした仕組みや工夫を実践しているからこそ、結果を残しています。

 
 
この記事がマーケティングとしてではなく、スキルとしての「顧客志向」を組織として取り組んでいただける一助になれば幸いです。

 

本章ではこの新しい企業と消費者を結びつけるサービスの考え方、構築方法について紹介してまいります。どうぞ、参考にしていただければと思います。

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