今回も塩に関する食の安全について話をしたいと思います。

前回の記事では、塩の摂取量と、高血圧症の推移に相関関係が無いことがわかりました、という内容です。おさらいのため、再度、相関関係が見られなかったグラフをお見せします。

こちらのグラフは厚生労働省HPから、塩分摂取量の推移を確認してみました。

塩分摂取平均2017発表

つづいて、2016.3.7の産経ニュースから高血圧症の推移グラウを参照してみましょう。

高血圧

塩分の摂取が高血圧症に関係するのなら、高血圧症の推移は下がってよさそうですよね?

でも、塩分の摂取が減っても、高血圧症の推移は減少していません。

塩分と高血圧症は、本当は関係ないのではないでしょうか?

塩と高血圧症の関係の発端

なぜ、「塩分摂取が高血圧の原因」といわれるようになったのか。

その発端は1954年。米国のルイス・ダール博士が、日本の東北地方(青森県)を含む世界5地域で疫学調査した結果、食塩の摂取量と高血庄症の発生頻度に相関を示しており、食塩の摂取量が多いほど高血圧になる危険性が高いと結論づけました。

salt1960RobertAlanDahl

このデータからダールは、食塩の過剰摂取が高血圧の原因となるという仮説を立て、ラットによる食塩給餌の負荷実験を行いました。結果、いくら食塩を食べさせても高血圧にならないラットがいるということをダール博士は結論づけました。

ダール博士の仮説を後押しした論文の存在

ダール博士は、実験結果のラットをそれぞれ、食塩を食べさせても高血圧にならないラットを食塩抵抗性(Resistant)ラットということでRラットと呼び、食塩を食べさせると高血圧になるラットを食塩感受性(Sensitive)ラットということでSラットと呼び1962年に発表しました。

この発表から科学的な根拠が不明瞭なまま、「塩分を摂りすぎると高血圧になる」ということが、定説化しています。そして、この仮説を後押ししたとされるのが、1972年、米国のジョージ・メーネリー博士の実験と言われています。

詳しい実験内容について本記事での掲載は省略しますが、その1972年に発表された論文では、人間でいえば1日200gもの食塩を40年間にわたって投与するようなラット実験した、と言われています。それでダール博士の仮説は正しい、という論文内容になっているとか。

本当? そんな実験で裏付けたとは、にわかに信じ難いのですが。。。

現在の塩と高血圧症の見解

さて、ダール博士の仮説ですが。。。。。

いまだにこのダール博士の仮説は証明はされていません。

それどころか、現在ではこの仮説を否定する実験結果の方が多く出て来ており、減塩の必要性が明確なのはナトリウムの排泄機能も弱まる腎臓疾患など一部の人のみである、とまで言われています。

そして、先にも述べましたが、塩分と高血圧症の関係を否定する論文の中に、新しい仮説がでてきました。

それは、減塩と認知症の関係です。

減塩と認知症の関係

減塩の是非について、最終的な結論を下すには、今後もさらなる研究が必要という前提ではありますが、減塩が認知症に何かしらの関係があるとする論文が発表されています。

愛媛大学大学院の「食塩摂取の認知に及ぼす影響に関する研究」です。

こちらの研究の目的と結論を引用抜粋します。

1. 研究の目的
食塩過剰摂取は、修正可能な生活習慣として重要であるが、認知機能障害との関連性を検討した成績はほとんどない。本研究では、食塩摂取と認知機能障害との関連性を明らかにする。

【まとめ】
抗加齢ドック受診者 186 例において、24 時間尿中ナトリウム排泄量と認知機能との関連性を検討した。血圧とナトリウム排泄量には、有意な負の関係が認められ、これは、因果の逆転と考えられた。
さらに、多変量補正後も、尿中ナトリウム排泄量は、図形認識能と負の関連性を示し、頭部深部白質障害グレードと有意な負の相関を示した。
食塩の摂取制限は、血圧とは独立した機序で認知機能に悪影響を及ぼす可能性が考えられた。

注目したのは、まとめの最後の一文です。

食塩の摂取制限は、血圧とは独立した機序で認知機能に悪影響を及ぼす可能性が考えられた。

内閣府が発表している平成28年版高齢社会白書(概要版) より、下記のグラフを引用します。

 
65歳以上の高齢者の認知症患者数

 
 
そして、再度の掲載になりますが、塩分摂取量の推移を掲載します。

 
塩分摂取平均2017発表

減塩と認知症の発症が示すものは一体

塩分摂取量の推移に反比例するように認知症の患者数が増えています。
まだまだ研究段階であることは論文にも示されており、かつ、減塩の是非はまだまだ途上のため、結論めいたことは控えますが、この日本国内でおきている減塩と認知症の発症が示すものは一体。。。

と思ってしまいます。

塩については話が長くなりそうですね。

次回も引き続き、塩の安全性について記事をまとめたいと思います。

私たち一般消費者がイメージする「食の安全」は、実は、心理的な判断による「食の安心」だったということがわかりました。

本章では、食の安全に関する基礎知識をまとめていきたいと思います。どうぞ、参考にしていただければと思います。

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