これまで2回にわたって塩分と高血圧に関する内容をまとめました。

塩と高血圧症には相関関係が無い

塩と高血圧と認知症の関係

今回も塩に関する食の安全について話をしたいと思います。

まあ、そもそも論として、なぜ塩分が必要なのかを確認したいと思います。

体に必要な塩分量

人間の身体はおよそ60兆個の細胞から出来ていると言われています。そのうち、水:60~70% タンパク質:15~20% 脂肪:13~20% と考えられています。

そして、塩分は体重の0.3~0.4%といわれています。

いま厚生労働省などの指針で塩分摂取で言われていますが、食品の成分表を見ると塩分と言う項目はなく、その多くは『ナトリウム』と記載されています。

塩は塩化ナトリウムという物質から出来ており、塩素とナトリウが結合したものです。

食品表示法によって、平成27年4月から、ナトリウム量を食塩相当量で表示することになりました。これにより簡単に塩分摂取量を把握できるようになりました。

塩分量とナトリウム量

厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準」には、1日あたりの必要な食塩摂取量が記載されています。

なお、この数字はナトリウム量です。

ナトリウムの量を塩分に置き換える計算式は次のようになります。

ナトリウム量(mg)× 2.54 ÷ 1,000 = 食塩相当量(g)

ナトリウム不足がもたらす影響

ナトリウムの摂取量が不足すると、次のような症状があらわれます。

  1. 自覚症状があるもの
    立ちくらみ
    頭痛や吐き気
    口の渇きなどの脱水症状
    筋肉異常・痙攣
  2. 自覚症状が表れにくいもの
    血圧の低下
    倦怠感
    精神不安定
    精神障害
    昏睡状態
    免疫機能の低下

人間の体では、ナトリウムが不足すると体内に蓄えていたナトリウムを使い生命維持を行うようになります。これにより、上述のような身体の不調としてさまざまな症状を引き起こします。

そのため、「減塩」は推奨されるけれども「塩分摂取はゼロ」が言われないのは、このためです。

先の説明のとおり、厳密には「ナトリウム=塩分」ではありませんが、ナトリウムを塩分と置きかえて考えて問題はありません。ナトリウムは、食塩のほかに、しょうゆやみそなどの調味料に多く含まれます。このように、日本の通常の食事ではナトリウム不足になることはめったにないと言えます。

カリウムという存在

体の中に存在するカリウム。カリウムは成人の体内に約200g含まれています。ナトリウムと相互に作用しながら血圧や細胞の浸透圧を調整し、生理機能の重要な働きをしています。

公益財団法人長寿科学振興財団によると、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制して、尿中への排泄を促進するため、血圧を下げる作用があるとされています。

 
 
うん? カリウムが血圧を下げる????
 
 

カリウムが血圧を下げる?

国立循環器病研究センターから、カリウムと高血圧に関する論文の一部を引用します。

生活習慣の“修正”による高血圧治療
野菜や果物はカリウム、マグネシウムや線維を多く含んでいます。カリウム、カルシウム、マグネシウムといったミネラルは、摂取不足が高血圧に関係し、多くとることによって血圧は低下します。野菜と果物、および低脂肪の乳製品に富む食事をとれば、かなりの降圧が期待できるでしょう。ただし、腎不全の人では、野菜や果物をとると血清カリウム値が上昇して危険な場合があり、逆に要注意となります。

 
 
ええ~!?!?

カリウムで高血圧の治療が期待できそうな発表ですね。

と思っていたら、ぬか喜びのようです。

詳しい論文を見つけることができませんでしたが、下記の情報を入手しました。

 
 

塩分過剰・塩分を摂りすぎているからと言って、ナトリウムを排出する効果のあるカリウムを増やすことによって、ナトリウムを減らさずにすまそうとすると、その分、身体の排泄能力を上げなくてはならず、逆に腎臓を酷使するという事になるらしい。

 
 
やはり、カリウムだけでは解消されないようです。バランスの大切さがよくわかります。

ナトリウムとカリウムの摂取のバランス

上述のとおり、野菜や果物には豊富なカリウムが含まれています。そして、普段使用している【塩】にもカリウムが含まれています。

しかし、【塩】なら何でもよいわけではありません。

普段調味料として使うには、2種類あります。

ひとつが食塩、もうひとつが天然塩です。

食塩は、海水から塩化ナトリウムを99%以上に濃縮したものです。それに対し、天然塩は、塩田を用いて海水を天日で乾燥等して作ったものです。

海水には「必須ミネラル」と呼ばれるマグネシウム、カリウム、カルシウム、リン、硫黄、ナトリウム、塩素、セレニウム、銅、亜鉛、コバルト、鉄、ヨウ素、クロム、マンガン、モリブデンの16種類が含まれています。

そして、その海水から作られる天然塩の場合は、塩化ナトリウム以外に塩化マグネシウムや、カリウム、カルシウムなどのミネラル分が含まれています。

ちなみに、海水をそのまま【塩】として使用すると、マグネシウムやカリウムなどのいわゆる「ニガリ成分」を過剰摂取することになります。だから、ミネラル分を適度に含んだ塩が必要なのです。

最近では、イオン交換膜法という技術で、海水から塩化ナトリウムの純度を高めた【塩】を精製しています。つまり、他のミネラルを含まない偏った塩になってしまっているのです。

「塩が高血圧の原因」が示す塩は精製した塩、なのか?

結論づけることはできませんが、ナトリウムだけを単独に過剰摂取した場合は、体液のミネラルバランスが乱れて高血圧につながる可能性は、これまでの話から否定できないのではないかと推察されます。

すると、、、、気なるのが、塩の摂取が高血圧に関係するのではなく、ナトリウムの摂取が高血圧に関係してくるのでは?という疑問。

ナトリウムと高血圧の関係は?

東京都病院経営本部より公開されている文章を引用します。

ナトリウムがたまると、水分を蓄えてナトリウム濃度を調節しようとする働きにより、循環血流量が増加して、血圧が上がります。

 
また、公益社団法人長寿科学振興財団の公開文書からも引用します。
 

ナトリウムを過剰にとると、この液量が増大するため血圧が上がったり、むくみを生じたりします。
(中略)
現在の日本人の食生活では、摂取不足よりもむしろナトリウムの過剰摂取による高血圧やがんを主とする生活習慣病が問題となっています。
(中略)
塩、しょうゆ、みそなどの食塩(塩化ナトリウム)を含む調味料に多く含まれていますが、それ以外にもうま味調味料などの食品添加物の多くには、グルタミン酸ナトリウムなどのナトリウム塩の形でナトリウムが含まれています。

 
 
グルタミン酸ナトリウム???
 
 

グルタミン酸ナトリウム(グルタミンさんナトリウム, monosodium glutamate (MSG); グルタミン酸ソーダ、グル曹とも)はグルタミン酸のナトリウム塩。構造式は HOOC(CH2)2CH(NH2)COONa。現在ではうま味調味料(近年では「アミノ酸等」と表示されている)と呼ばれることも多い。グルタミン酸ナトリウムを利用した調味料で有名なものとしては味の素がある。
グルタミン酸ナトリウム – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/グルタミン酸ナトリウム
 
 

あれ?高血圧の原因って塩じゃなくて、こっちじゃないの?
 
 

塩については話が長くなりそうですね。

次回も引き続き、塩の安全性について記事をまとめたいと思います。

私たち一般消費者がイメージする「食の安全」は、実は、心理的な判断による「食の安心」だったということがわかりました。

本章では、食の安全に関する基礎知識をまとめていきたいと思います。どうぞ、参考にしていただければと思います。

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