私たちの暮らしを豊かにするものの一つが「食事」です。「食事」が当たり前だと思いますか?
違います。「食事」は豊かさの象徴です。
国連WFPによると、世界の9人に1人がいまだに十分な食料を得られない状況で生活しているとされています。
2017年9月15日、国連が発表した世界の食料安全保障と栄養の現状に関する年次報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状 2017」によると、、、
世界の飢餓人口:8億1500万人
・アジア:5億2000万人
・アフリカ:2億4300万人
・ラテンアメリカとカリブ海諸国:4200万人
となっています。
本当に豊かな食生活とは
少し話が飛躍しすぎたかもしれません。失礼しました。ただ、これだけ多くの人が飢餓に苦しんでいるという事実がある、ということを知ってほしいです。
話を戻します。
「豊かな国」と言われるための大きな目安のひとつが食生活の豊かさです。アメリカのTIME誌が調査した2013年当時の結果によると、1週間の食費として日本の小平市の家族が約3万1千円だったそうです。月額にすると、約12万4千円ですね。
食費に関連する指標のひとつに、「エンゲル係数」があります。家計の支出に占める飲食費の割合を示した数字で、数値が高くなるほど生活に余裕がない状態と言われています。
日本のエンゲル係数について、総務省統計局が2018年2月16日に発表した【家計調査(家計収支編)調査結果】を見てみましょう。
2005年を底値として、22.9%でした。
2017年は、25.7%です。
例として、40万円/月の世帯収入があるご家庭の場合、およそ9~10万円/月程度の食費がかかる数値です。TIME誌の調査から、およそ2万円程度の誤差がでますが、食費の高さ、安さは、その土地の物価に影響することもあるため一概に平均的水準がどのくらいの金額か、を指し示すのは難しいかもしれません。ただ、統計上は大体その程度かかるということです。
一日当たりの計算だと、3~4千円/日が食費にあてられる計算です。
食卓は
日本では、一般家庭の食卓にも世界各国の料理を食べることができます。
和食はもちろんのこと、中華やイタリアン、エスニックなど本当に多彩です。そんな日本の食生活から日本は豊かだと言えるかもしれませんが、本当でしょうか。
いかがでしょうか。あなたの食事風景は、本当に豊かな食卓ですか?
バランスの良い食事
「栄養バランスの整った食事をしましょう」という話を耳にしませんか?食事にかけられるお金だけが食事の豊かさを表現するものではありません。その食事のバランスが重要です。
体を健康に保つためにどれも欠かせないもの。それが栄養素です。さまざまな栄養素をバランスよく摂取することで、毎日の活動に必要なエネルギーを生み出し、体の免疫を保つことができます。
国立がん研究センターの研究によると、「食事バランスガイド」を守った食生活をしている人では、していない人にくらべて総死亡リスクが低く、特に脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)の死亡リスクが低下するとあります。
以下、一部を引用します。
食事バランスガイドの遵守得点が高いほど総死亡のリスクが低下しており(図2)、遵守得点が10点増加するごとに総死亡リスクが7%減少していました。
死因別に検討したところ、食事バランスガイドへの遵守度の高い人ほど循環器疾患死亡、特に脳血管疾患死亡のリスクが低いことが分かりました。がんについても遵守度が高い人ほど死亡リスクが低い傾向でしたが、統計学的に意味のある違いではありませんでした(図2)。今回の研究で、食事バランスガイドの遵守度が高い人ほど死亡リスクが低下しており、特に脳血管疾患の死亡リスクとの関連がはっきりしていました。諸外国における食事ガイドラインに関する研究でも、同様の結果が報告されています。
出典:国立がん研究センター「食事バランスガイド遵守と死亡との関連について」
「食事ガイドバランス」は、厚生労働省と農林水産省の各ページで確認することができます。あわせて参考にしていただければと思います。
これまで見てきたように、「五大栄養素」および、「6つの基礎食品群」を「食事バランスガイド」と照らし合わせると、バランスよく栄養を取ることが出来るように工夫されていることがお分かりいただけるかと思います。
第1回:「食事バランスって?」
第4回:「栄養学の入門」
第5回:「年代別に必要な栄養」
第7回:「脂質。栄養素を知って健康に。」
第10回:「ミネラル。栄養素を知って健康に。」
第11回:「食物繊維。栄養素を知って健康に。」
第12回:「水。栄養素を知って健康に。」
健康的な生活を営む上で「食事バランスガイド」に沿った食生活が大切な食事の指針だと、あらためて気づかされます。
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがずれて消費エネルギーが少ない場合、使われないエネルギーは脂肪として蓄えられます。摂取エネルギーの適正を測る一つの目安として体重があります。
ただ、摂取エネルギーのことばかりに気を留めるのではなく、食事の目安は「性別」「年齢」「身体活動量」に依存しており、その関係には相関関係があります。
上記の「食事バランスガイド」の説明はあくまで平均目安の説明です。ご自身の食事の適量については、厚生労働省のページに「食事バランスガイド」を使って、食事のバランスをチェックするページの案内があります。
どうぞ、こちらを参考にしてご自身の食事の適量をぜひ確認してみてください。
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